奈良とイチゴ

奈良コラム

奈良県民の感覚としては、奈良はイチゴの名産地。著者の家でも、奈良県産のイチゴを冬から春にかけてよくいただきます。ただ、その実態はどうなっているのでしょうか。本記事では、そんな奈良のイチゴ産業について読み解きたいと思います。

3つの品種(あすかルビー、古都華、珠姫)

イチゴは奈良県の農業を引っ張っていく役目を持つ、リーディング品目に指定されています。奈良県農業研究開発センターがイチゴを開発し、県内の農家さんがそれを生産するという流れが出来ています。現在、よく見かけるのが奈良7号のあすかルビーと、奈良8号である古都華(ことか)。

あすかルビーは2000年に品種登録された奈良県産イチゴで、さっぱりとした甘さが特徴的。表面がルビーのような光沢ということで、あすかルビーと命名されたようです。一方、古都華のほうは2011年に品種登録されており、とても甘いイチゴとして有名です。そして香りが素晴らしい。はっきりと味と香りが違うので、消費者としては選びやすいですね。著者はさっぱりとしたほうが好きなので、あすかルビー派です。

写真は奈良県のウェブページより

そんな奈良オリジナル品種のイチゴに、2019年12月12日から新しい家族が増えました。珠姫(たまひめ)という品種のイチゴです。奈良9号として、しばらく前から発表されていました。大きいサイズだと卵と同じくらいの大きさになるイチゴで、以下の特徴があるそうです。著者はまだ食べられていません。早く食べてみたいですね。
 ○果実が卵円形でとても大きい。
 ○酸味が少なく、さっぱりとした甘み。
 ○果皮は光沢があり、橙赤色(オレンジ色がかった赤色)。
 ○果肉もオレンジ色がかった赤色。
※奈良県による発表はこちらより。

イチゴの楽しみ方

著者の住む生駒市では、イチゴの季節になると、食品スーパーであすかルビーをよく見かけます。恐らく奈良県内では日常的に売られているイチゴだと思います。古都華も時々見かけます。ここでは、食品スーパーで買う以外のイチゴの楽しみ方を見てみたいと思います。

イチゴ狩り

シーズンになると、いろいろな観光農園でイチゴ狩りが開催されます。 一緒に行く人たちと「すごい甘いの見つけたよ~」「これ食べてみてよ~」「もうお腹パンパン~」などとおしゃべりしながら過ごす時間は楽しいですね。高設栽培の観光農園も多く、イチゴ棚が腰の高さあたりにあるため、イチゴを採るために都度しゃがまなくて良いことが地味に嬉しい。

下の写真は「あすかいちご狩りパーク」さんですが、あすかルビーが食べ放題とのこと。

写真はあすかいちご狩りパークのウェブページより

針テラスという自動車専用道路のサービスエリアにも観光農園(ベリーファーム)があって、車でのアクセスも良くいちご狩りを楽しめていたのですが、運営会社が契約解除となり、ベリーファームは閉園となりました・・・。

かき氷

奈良公園の近くに氷室神社があり、氷の神様たちが祀られています。そのため、奈良はかき氷の聖地とされています。左の写真は、整理券が必要なほど超人気の「kakigori ほうせき箱」さんのインスタグラムからですが、奈良のイチゴが使われています。

右の写真は著者がかき氷をよく食べに行く古民家カフェの「みやけ」さんですが、ここのいちごミルクにも奈良県産のイチゴが使われています。奈良のイチゴを楽しみたい際、かき氷もひとつの選択肢になりそうですね。※著者はきな粉金時や宇治金時ばかり食べているので、いちごミルクは食べたことありませんが(スミマセン)・・

ケーキ・パフェ

甘いものばっかりでスミマセンが、最後はケーキやパフェにも使われている奈良県産のイチゴについて。左の写真は奈良県橿原市にある「cafeひそひそ」さんのインスタグラムより。あすかルビーたっぷりのイチゴゼリーにヨーグルトクリームがかかっているメニューとのこと。ただ、2017年の投稿のため、現在は提供ないかもしれません。

右の写真は、「ホテル日航奈良」さんが2019年上期に実施されていたいちごフェアのメニューである、古都華パフェ。珍しく古都華が使われていました。

イチゴ産業

奈良に住んでいると、奈良県産のいちご(特にあすかルビー)によく遭遇するので、冒頭で申し上げたように奈良はイチゴの名産地なのだろうと思ってしまうわけです。ただ、本当にそうなのか、数字を見てみましょう。

以下は、平成28年度におけるイチゴの収穫量の全国ランクです。一位は栃木で25,000tの収穫量と、ダントツ一位ですね。二位と三位は福岡県・熊本県と九州勢。では奈良県は・・・2,500tで全国第16位でした。もちろんイチゴ生産地として頑張ってはいますが、全国に名を馳せるレベルではないようです。

地域の入れ物さんのウェブページより

実は、かつてはハウス栽培を全国に先駆けて取り入れ、1970年代までは奈良は全国トップクラスのイチゴ生産地だったようです。しかし、生産者の高齢化などで生産量が減っていったとのこと。ちなみにですが、全国一位の栃木県は、50年ほど全国一位をキープしているようです。すごいですね。栃木県は「とちおとめ」「スカイベリー」、二位の福岡県は「あまおう」の品種をそれぞれ擁しています。

特に古都華のほうは生産の難易度が高いようで、2018年時点では生産者が5名とのこと。市場にはなかなか出回らない理由はここにあるようですね。最後に、奈良市が古都華のプロモーションムービーを作っているので、よろしければ。特に以下の第二弾PVは、なかなか・・・シュールです(笑)。

【奈良市職員出演】古都華PV 第2弾 あなたが落としたのはこのイチゴですか?篇
今回の読み解き手法
主に行政が公開している統計(リサーチ結果)を中心に奈良のイチゴ生産を俯瞰。
参照
奈良県/農林部/農業水産振興課/リーディング品目から「いちご
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