地域活性化に影響を与える7つの因子

奈良コラム

地域活性化に関してサトタケがこれまでに学んだ情報をベースに、地域活性化(特に地域の魅力づくり)に影響を与えるであろう因子を7つほど特定しました(想う・生活する・働く・交流する・楽しむ・過ごす・企画実行する)。奈良を題材に各因子を解説した上で、そのモデルをどのように活かせるのかを説明したいと思います。

7因子モデルとは何か?

例えば、観光地があれば、県内外からその場所に人が遊びに来るかと思います。産業があれば、その産業に従事する労働者が県内外から働きに来るでしょう。雰囲気の良い街並みがあれば、住む人が増えるかも知れません。それらのいずれもが地域活性化につながりそうですが、レベル感がバラバラであるため、同じ目線で取り扱いづらくなっています。

「地域活性化のための7因子モデル」とは、地域の魅力づくりに影響を与える要素を一覧化して、全ての要素を見渡しながら地域活性化に関するディスカッションをできるようにするためのツールです。ちょっと説明は難しくなってしまっていますが、以下の具体的な説明を見ていただくと、簡単にご理解いただけると思います。

各因子の特徴とは?

7つの因子について、それぞれ内容を見ていきましょう。サトタケは奈良県の住民のため、奈良をテーマにお話しさせていただきますね。

奈良を想う

例えば、東京に住む方が奈良の1300年の歴史とそのドラマを偶然学び、奈良に遊びに行きたいなぁ、と感じたとします。そのような、『地域のブランド・ストーリー』がこの因子となります。大自然のある北海道に行きたいなぁ、京都の街並みを歩きたいなぁ、新旧様々な文化の混じった東京に行きたいなぁ、屋台料理を満喫しにタイのバンコクに行きたいなぁ、芸術の都パリに行きたいなぁ。もうご理解いただけましたよね?

奈良で生活する

これは単純に、『生活のしやすさ』を表す因子です。買い物といった日々の家事、子供の通学、または、運動をしながら健康を維持したり。そういった日々の暮らしやすさはその地域の魅力と言えそうです。もちろん、都会が好きな人、閑静な街が好きな人と、人によって好みは違うと思いますけれども。

奈良で働く

奈良の高山エリアで茶筅(ちゃせん)の職人になりたい・・などは象徴的な例ですが、『その地域で働く魅力』も地域活性化に関する重要な因子だと言えそうです。奈良県は県外で仕事をする割合(県外就業率)が全国トップレベルなので、少しこの因子は弱いという見方もできます(そのお陰で税収は良いらしいですが)。

奈良で交流する

例えば、地元の商店街などがイメージしやすいかもしれませんが、いつもの馴染みのカフェで、仲の良い店のスタッフとちょっと話を交わす。そのような『人のつながり』も地域の魅力のひとつであると考えられます。歴史の長い地域では、年に1回は馴染みのメンバーとお神輿を担ぐといった、長く深い人とのつながりもあるでしょう。

奈良を楽しむ

奈良には鹿しかいないといったダジャレもありますが、鹿と遊んだり(鹿せんべいをあげたり)、奈良公園で散策したりする目的で、県内、または、大阪などの県外からもよく人がいらっしゃいます(現在はまだ、コロナの影響で人は少ないですが)。または、奈良はかき氷で有名なため、夏にはかき氷屋さんに人が集まります。そんな『観光・レジャー・飲食など』も地域活性化の重要な要素でしょう。

「奈良の時間」をすごす

奈良はその空気感が好き、ということをよく言われますが、1300年前から変わらないゆったりとした時間を感じられることが一つの魅力と言えます。そういう『その地域ならではの空気感』も一つのポイントと言えそうです。富山県なら、雄大な立山連峰の山々に囲まれた感じ、沖縄ならシーサーの飾られている平べったい温暖な街並みがそれに該当するかもしれません。

奈良の施策やイベントを企画実行する

地域を盛り上げる立役者がいる、ボランティアが活性化している。行政が面白い施策を立ててくれる。そのように、『その地域で新しい何かを生み出す人々』は未来の地域活性化に影響を与えるでしょう。新しい地域のイベントを立ち上げたり、新しい産業を生み出したり。これは、そのような地域の変化に関係する因子だとも言えます。

7因子モデルを使った地域理解

さて、ここからが面白いところです。このモデルを使って、いろいろな事象を読みといていきます。

オフィスキャンプ東吉野

奈良県東吉野村にデザイナーや建築家が集まる「オフィスキャンプ東吉野」というシェアオフィスがあります。地理的には奈良市の中心街から90分はかかる、自然に囲まれた場所。代表の坂本さんに取材させていただいた時、「新鮮な空気を吸って、採れたての美味しい食べ物を食べながら、自分の好きな仲間と好きな仕事が出来る幸せがある」とおっしゃってました。7因子モデルでは、以下の4因子がその発言に該当するでしょう。

編集奈良

サトタケもメンバーである、奈良県下でいろいろな活動を行っている団体「編集奈良」。奈良観光会議というイベントを企画したり、ペチャクチャナイト奈良という交流の場を設けたり、奈良の学生を応援するイベントを開催したりしています。7因子モデルでは、当然、以下の1因子がその活動に該当するでしょう。

株式会社創喜

ローゲージの可愛いくて履き心地の良いくつ下を作っている、株式会社創喜さん。同社に取材をした際、女性のメンバーの方が「靴下が好きだから入社しました」とおっしゃってました。同社のある広陵町は、国内でくつ下の生産量がNo.1の地域。産業の魅力で地域活性化につながったエピソードだと言えるでしょう。

塗仏観光

塗仏観光を主催されている安達えみさんは、『自腹奈良PRイベント!「奈良ひとり観光協会」』というイベントを、東京や大阪といった奈良県外の場所で開催されています。奈良に気軽に来ていただけるよう、奈良のハードルを下げるようなプレゼンを意識されているんですって。奈良って楽しそうだなって想ってもらう、奈良に来て楽しんでもらう、そんな世界を目指す企画者だと言えるかもしれません。

・・・

以上、四つの事例をご紹介しましたが、お分かりいただけたでしょうか。地域活性化にはいろいろな側面があると思いますが、7因子モデルを使えば、その「どこ」にフォーカスして考えているのかが客観的に見えるようになると思います。

7因子モデルの活用方法

最後に、これから地域の魅力づくりを考える時に、「地域活性化のための7因子モデル」がどう活用できるかを見ていきましょう。

議論の偏りをなくす

地域活性化に向けた議論をする際、観光の集客ばかり話をしてしまう場面もあると思います。もしくは、産業の活性化ばかりにフォーカスしてしまうこともあるでしょう。7因子モデルを見ながらディスカッションを行うと、そのような議論の偏りを防ぐことができそうです。「ちょっと産業の話ばかりをしていたから、次は地域の憧れについて話をしようか」などと話題を変えるのに使っていただけるかもしれません。

強みを分析する

小高パイオニアヴィレッジは、福島県南相馬市にあるコワーキングスペース。そこでは新しく事業を立ち上げたい方が集まり、地域のイノベーションを皆で考えているそうです。その人の循環が活性化してくると、そのエリアは「施策やイベントの企画実行」の強いエリアになったと言えるでしょう。

奈良県は1300年という長い歴史があるため(※)、ドラマやストーリーを作るための題材が豊富であると言えます。7因子モデルでは「憧れ」を描きやすいエリアだと言えるでしょう。 ※縄文時代・弥生時代・古墳時代・飛鳥時代を含めると、それよりももっと古い時代からの歴史を楽しめますが(笑)

そのように各エリアの強みを分析するところでも、7因子モデルは活用できます。

隠された魅力を見つける/創る

東京の千駄木は、小さな古いお店が立ち並ぶ風情ある街並みを擁していますが、「千駄木の食を楽しむ」「千駄木の時間を過ごす」という魅力は既に顕在化していると思います。ただもし、小中学生の職業体験として、そういった歴史あるお店で働くという体験が出来るようになったらどうでしょうか。「働く」という魅力もその町に備わるかもしれません。

そのように、そのエリアで注目されていない/未発掘の魅力についても、7因子モデルを使うことで考えて行くことが出来ると思います。 ※千駄木の詳しい事情は理解せずに執筆しています。上記、的外れな意見だったらスミマセン

そして、地域の未来を占う

地域の未来を考える際に、本ページで学んだことをどのように使えば良いでしょうか。こちらについては、別の記事で詳しくご説明しているので、どうぞご参照ください。

・・・

以上、いかがだったでしょうか。もし、あなたのお仕事で「地域活性化のための7因子モデル」を使えそうでしたら、どうぞご自由にお使いください。エリア名を空欄にしたバージョンを以下よりダウンロードいただけます。お使いいただく場合、よろしければ、クレジット(© yomitoki-nara)は残したままでお使いいただけますと幸いです。

「地域活性化のための7因子モデル ※エリア名空欄バージョン」
画像をコピペいただき、パワーポイント等に貼り付けてお使いください。
タイトルとURLをコピーしました