PechaKucha Night NARA vol.15 から学んだ、地方創生のあり方

奈良コラム

2019年12月14日に PechaKucha Night NARA というイベントに参加してきました。PechaKucha Night は世界中の1,000以上の都市で開催されている「その地域で活躍する人たちのプレゼンテーションと参加者同士の交流」を楽しむイベント。同イベントに参加して感じた地域創生のヒントをまとめてみました。

PechaKucha Night NARA について

PechaKucha Night のルールは「プレゼンターが20スライド×20秒ずつ(計400秒)プレゼンテーションをする」ということのみ。今回は9名の発表者でプレゼンが行われました。15回目の今回は、奈良市に新しくできたライブハウス EVANS CASTLE HALL にて開催。200名の席がほぼ満席でした。

EVANS CASTLE HALL の音響はとても良くオープニングムービーもドラマチックに映し出され、感動的な開幕でした。

MCは奈良で事業をされているヨシモト ケイスケさんと、Twitterで話題の女子大生くつざわさん。トップバッターのくつざわさんの発表が終わった後、お二人の進行に沿って5名がプレゼン。30分ほどの休憩をはさんで、残る4名がプレゼン。そのような流れで進行していました。

参加者の交流の場としては、上記の30分の休憩と、イベント終了後の交流会が準備されていました。後にも語りますが、(発表者だけでなく)参加者も面白い方が多く、30分の休憩中に近くの席の方と話をするだけで得られるものも多かったです。

PechaKucha Night NARA の主催者は、サトタケも参加している「編集奈良」です。

どのような発表があったの?

くつざわさんの発表(SNSマーケティング論!)が終わってから、以下の9名の方が発表。

A:小田 墾 さん
「クリームソーダの盛り付けを変えただけで前年比500%って話」
オシャレでフォトジェニックなクリームソーダを提供している橿原市の「うのまち珈琲店」のお話。JR東海とのコラボでも話題。お客さんのインスタ写真などから学ぶというマーケティング論が斬新でした。

B:土江 進太郎 さん
「作ろう!あなただけに価値のある服」
小柄な女性向けのブランド【Cobitto】のお話。コンセプトに悩んだ果てに「たった一人の顧客を幸せにすることだけを考えたらいい」という結論に至ったのが印象的でした。

C:市橋 健 さん
「ゴールデンラビットビールのこれまでとこれから」
奈良で開発する市橋さんのクラフトビール「ゴールデンラビットビール」。スタッフが副業の方ばかりという働き方が印象的でした。週1でも良いのでと、働く仲間を募集していました。

D:4人目に、飛び入り(?)で1名の方がお話しされていました。教育者の女性で、ダンサーのご主人と全国行脚をしているお話でした。お名前等はメモできていません、ごめんなさい(汗)

E:みなみ けいた さん
「わらしべ長者の可能性」
物々交換して、最後には自分が欲しい物を手に入れる「わらしべ長者」というゲーム。その新しい活動のエンターテインメント性や、そこで発生するコミュニケーションの価値をお話しされていました。

F:大村 豊 さん
「変遷する表現」
理学療法士、やどりか珈琲の店主、冬期は猟師活動という複数の顔を持つ大村さん。ご自身の人生そのものを表現と捉え、表現(=生き様)を探っていく人生が面白かったです。

G:奥田 英明 さん
「工場美術館」
人工くらげのアート等を手掛ける奥田さんのプレゼン。工場を美術館と変えることを目指しながら、その美術館を創る(=施工する)過程も鑑賞の対象と捉える考え方が独創的でした。

H:太田 奈美 さん
「自分に還る宿」
生駒のゲストハウス「鹿音~kanon~」を運営する太田さんのお話。国際結婚をされて様々な国で暮らした後に行きついたのが、生駒のゲストハウスの運営。太田さんの人生を凝縮したストーリーが感動的でした。

I:大越 元 さん & 島田 彩 さん
「toi・家を10代に開放したら毎日が楽しくなった」
平城宮跡に近いコミュニティスペース「toi」。部屋を10代の子たちに開放したら勝手にいろいろな人が住みはじめ、家が勝手に改装され、毎日がイベントのような住居スペースになってしまったという斬新なお話。

地方創生の場としての可能性

発表者がプレゼンし、多くの人に知ってもらえる場

9名の発表はすべて面白かったのですが、半分以上は、サトタケが知らない方でした。今はSNSの時代であるため、自分から遠いコミュニティの情報は得られづらいのが現状。それをキュレーションし、200名の人間にシェアすること自体にまずは価値があると思います。

言い換えると、地域で活躍する人を地域内でしっかりと紹介し、その人の活動を後押しする。そんな場として PechaKucha Night は機能しているのだろうと思います。

参加者も「何か活動している人」

もうひとつ面白かったことは、発表者だけでなく、参加者にも面白い方が多かったことです。

30分の休憩中、または、懇親会でいろいろな方とお話しさせていただきましたが、「会社で与えられた仕事」以外の活動に取り組まれている方がたくさんいらっしゃいました。

地域創生に関心があってたくさんの人と繋がっている人、教育に関心が高く教員たちと勉強会を開いている人、地方公務員としていろいろな場に顔を出している人、自己紹介を通して自分の魅力を見つける場を提供している人、奈良を紹介する事業を立ち上げた人、などなど。

わざわざ PechaKucha Night という場に行こうと考える人は、そういう属性を持った方が多いのかもしれません。参加者の中から、未来の PechaKucha Night Nara の登壇者が生まれてもおかしくないでしょう。

地域で活動している人の絆が強まる場

8名の登壇者、200名の参加者、MCや編集奈良のスタッフ。その個々人はすでに知り合いであることも多いようで、「おお、久しぶり」という声もよく聞こえてきました。恐らく、地域で何か活動している人はこのようなイベントに参加することで、(偶然に再会した)仲間・知り合いとの絆を深めているのでしょう。そして、そこで刺激を受けて、再び、各自の日々の活動に励むのでしょう。

PechaKucha Night だけではないと思いますが、このようなジャンルを問わない幅広いイベントは「地域で何か活動している人」にとって良い出会いの場になるのだと身をもって感じました。

楽しく、感動的で、自分自身の役にも立つイベントなので、未参加の方は是非、参加してみてください。

PechaKucha Night NARA の今後のイベントは編集奈良の「ならマガ」等で発表されると思いますので、定期的にチェックしてみてください!

奈良の情報ポータル「ならマガ」
http://naramaga.in/

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