地域の魅力を知り、地域の未来を占う

奈良コラム

地域の未来を考えるとき、その地域の強みや弱みを理解することが一歩目となるでしょう。今回はそのような、地域の特色を比べ未来を占う方法をご紹介したいと思います。奈良市・生駒市・野迫川村、また、県外の比較対象としてお隣の東大阪市を例に地域の魅力を比べた上で、その地域の未来をどう考えると良いかを見ていきます。

地域の魅力を比べる方法

「地域の特徴・特色」となるとそれは広い言葉で、人口がどのくらいか、地理的にどうなっているのか、どのような観光資源があるのか、産業はどうなっているのか等、様々な切り口での比較が生じます。統計データによる比較ならば、内閣府まち・ひと・しごと創生本部が提供している「地域経済分析システムRESAS」なども有名です。

そんな中、今回は「その地域にどのような魅力があるか」という視点で地域の比較を行いたいと思います。切り口としては、サトタケが別の記事で提案している「地域活性化のための7つの因子」というモデルを使いたいと思います。

同モデルは、地域の魅力を「地域ブランド・生活・仕事・人の交流・旅行やレジャー・空気感・盛り上げ役の存在」のように分けて理解するというものです。実際に地域の仕事をされている方にとっては目の粗い、バックリとした考え方に映るとは思いますが、広い視点でその地域の未来を考える際には使っていただけるかもしれません。※7つの因子については以下の記事をご参照ください。

4つの地域の魅力を比べてみる

それでは実際に、いくつかの地域の魅力を比べてみたいと思います。奈良県で最も人口の多い奈良市(約36万人)、サトタケの住む人口が3番目に多い生駒市(約12万人)、人口が最も少ない野迫川村(約400人)、比較対象としてお隣、東大阪市(約49万人)のそれぞれの魅力を比較していきましょう。

奈良市

奈良市は奈良県最大の人口を擁する都市であり、また、平城宮跡や東大寺、奈良公園といったネームバリューのある観光資源を持つ都市でもあります。そのため、観光から日々の生活まで、幅広い魅力がそこにはあるはずです。すべてを網羅すると7つの因子全てが該当することになってしまうので、その中でも特に目立った特徴のものをピックアップしたいと思います。

奈良市のホームページに「奈良市の魅力」というページがあるのですが、そこでは大きく「観光」と「移住・定住」、また、観光客や住民に向けた「奈良の楽しみ方」を謳っています。ここから、奈良市の姿勢として観光客と住民を招きたいという意図が感じられます。

また、これはサトタケの個人的な印象かもしれませんが、奈良市には新しいイベントを立ち上げたり、新しいお店を開いたりと、「新しいことをする人」が多い印象です。そんな奈良市の魅力を、下図のように表現してみました。

写真は奈良市のHPより

生駒市

サトタケの住む生駒市では、最近、「グッドサイクルいこま」というサイトが立ち上がりました。素敵な生活をいちはやく取り入れた生活者を紹介して、未来の生駒市を描いていく、そんなサイトです。

同サイトのトップページに使われている写真から、生駒市が考える「これから創っていきたい生駒」が垣間見れます。左上の写真は光あふれるオフィス兼住居、左下の写真は緑の豊かな街、右下の写真は女性がつながるコミュニティ。生駒市は県外就業率が50%を超えているため、産業を打ち出すよりも「住みたい町」として打ち出したいのだろうと思います。サトタケも平日は大阪や東京でお仕事していました(2020年5月現在はテレワーク中)。

写真は「グッドサイクルいこま」のHPより

野迫川村

野迫川村は奈良西部の山間部に位置する、人口400人の小さな村。残念ながらサトタケが訪れたことはないのですが、同村のホームページから野迫川村が訴えたい村の魅力を見てみます。

トップページにある「のせがわ魅力発信サイト」をクリックすると観光ページに移動。すると、とても美しい雲海の写真が目に入ります。村のキャッチコピーも「天空の國 野迫川村」。そう、野迫川村は雲海を前面に打ち出しているようです。24時間のライブカメラを観れるようになっていたり、雲海出現確率のリンクが貼られていたりもしています。

野迫川村のホームページでは同村に住むこと(移住)の記載もあったので、以下のように○(マル)付けをしておきたいと思います。

写真は野迫川村のHPから

東大阪市(大阪府)

比較対象として、東大阪市の魅力についても見ておきたいと思います。東大阪市のホームページを見ると、同市のキャッチコピーは「モノづくり・ラグビーのまち」となっていてとても分かりやすい。魅力発信のページではモノづくり・ラグビー・くらしやすさ・子育て・学生のキーワードでアピールされていました。

歯ブラシから人工衛星という幅広い工業(モノづくり)がそこにはあり、工業に関心のある人が働きたい町・住みたい町としてその特徴付けを行っているのだと思います。

写真は東大阪市のHPから

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以上、四つの市町村の比較を行いましたが、いかがだったでしょうか。その地域の魅力、強みと弱みを客観的に評価する物差しがご提供できたなら嬉しいです。もしワークショップなどで各地域の魅力をディスカッションされる際は、言葉だけでなく写真をペタペタと貼りながら進行いただくと、より情報リッチなアウトプットとなります。

さて、本記事の後半では、地域の未来を占う方法を見ていきたいと思います。

地域の現状を元に、地域の未来を占う

2020年5月現在、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除され、とてもゆっくりとではありますが元の生活に戻りつつあるかと思います。一方、HITACHIが在宅勤務を標準にすると発表するなど、新しい社会基準(ニューノーマル)も生まれつつあります。そのような変動の時代の中、地域の未来を考えることは意味があると思いますので、その方法を考えたいと思います。

未来の占い方

それは、『これまで考えてきた地域の特徴に、社会の変化を掛け算する』というもの。例えば生駒市では、人と交流しながら緑豊かな場所で生活する、生駒という環境の良い土地で在宅ワークをするといった未来が描かれていました。ここに、「リモートワークが増える」「それにより地産地消が増える」「地域でスポーツする人口も増える」という社会変化を掛け合わせたらどうなるでしょうか。

もしかしたら、「リモートワークの街・生駒」という未来が生まれるかも知れません。もしそうだとすると、住宅地にフードトラックがやってくる、小さな有休の土地で簡単にできるスポーツが流行る、みたいな波及効果が生まれてくるかもしれません。そして、それらをひっくるめて、生駒の新しい文化、新しい生活スタイルと呼ぶことになるのでしょう。

地域の未来を占うワークショップ

上記の分析は、複数人が集まる2時間程度のワークショップ形式で行うことも可能です。参考までに、その際のステップを掲載しておきます。※ただし、事前準備として、ニュース等から「社会の変化に関する記事」を集めておくと進行がスムーズです。

  1. 地域の強みと弱みを自由にフセンに書き出す
  2. 7因子モデルを使ってフセンを分類、不足情報を足す
  3. できれば、そこに写真があるとイメージが湧きやすい
  4. 社会の変化をフセンに書き、周辺に貼
  5. それらを見ながら地域の未来を議論し、メモで残す

最近、企業のワークショップではオンラインのホワイトボードがよく使われます。miroというオンラインホワイトボードツールが有名ですが、同ツールを用いるとワークショップがスムーズに実施できます。PC上で行うので遠隔での参加や写真添付などもスムーズ。とても簡単なツールなのでよければご利用ください。 ※miroのウェブサイトはこちら⇒ https://miro.com/

写真は「グッドサイクルいこま」のHPより

さらに詳細な分析

行政であったり、その土地でビジネスをされている方の場合、より詳細な分析を必要としているかもしれません。「北新町にはどんな魅力があると言える?」といった詳細なエリア分析、「そこには○○さんがいるから頼めそう」といった人的なリソースも考慮した分析。目的に応じて、上記のワークショップもアレンジいただければと思います。

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以上、本記事では「地域の魅力を知り、地域の未来を占う」方法について考えました。もしあなたのお仕事やご趣味でこのような分析が使えそうでしたら、どうぞお使いください。